【みやぎ環境税活用事業】
木質バイオマス暖房機の施設園芸分野への利用促進事業
担当部署
農業・園芸総合研究所 野菜部 イチゴチーム(電話:022-383-8135)
研究期間
2021年度(令和3年度)~2025年度(令和7年度)
研究目的
イチゴ促成栽培では、冬期に重油や灯油等の化石燃料を利用した加温設備が使用されており、CO2の排出源となっています。また、これらの燃料費が経営費に占める割合は高く、近年の燃料価格の高騰は,経営上大きな課題となっています。
一方、木質バイオマスは、大気中のCO2濃度に影響しないカーボンニュートラルな特性を有し、再生可能なエネルギーとして注目されています。
そこで、間伐材等の地域の未利用資源を使用した木質バイオマス暖房機の施設園芸分野への利用を検討します。
本研究課題では、イチゴ促成栽培において、薪ボイラーを培地加温に利用した際の燃料費及びCO2削減効果と作物の生育及び収量に及ぼす影響ついて調査し、現場への社会実装を並行して進めていきます。
研究内容
○これまでの研究成果
- イチゴ培地加温用ボイラーとして、エーテーオー(株)のウッドボイラーS-220NSBが選定基準を満たしました。導入費は、標準価格で180万円です。
- 厳冬期であってもウッドボイラーによる温湯加温により、高設ベンチ内の培地温度を設定温度である14℃付近に維持することができました。培地加温により、厳冬期であっても「にこにこベリー」、「とちおとめ」ともに強い草勢を維持することができました。培地加温区の年内収量、早期収量、総収量は、いずれの品種でも無加温区対比113~137%と高くなりました。
- 安価な薪を燃料として利用した場合ウッドボイラーは、慣行の灯油ボイラーと比較するとイチゴ1作における10a当たり燃料合計金額を78.5%に抑えることができ、10a当たりCO2排出量も慣行の33.2%に抑えることができると試算されました。
- 薪が燃え尽きた場合に貯湯槽の温度を維持するために用いる灯油補助加温バーナーにより、10a換算で約850リットルの灯油が使用されています。その削減方法として夜間に自動着火する方法を検証しましたが、安定性に欠けたため実用化は難しいようです。
薪ボイラー(ウッドボイラーS-220NSB)
薪を主燃料として貯湯,夜間灯油バーナーで補助加温
薪ボイラー培地加温性能確認試験
撮影日:2022年3月3日、冬期培地温度15℃設定
○本年度の研究内容
中課題 |
小課題 |
研究内容 |
補助暖房としての 薪暖房利用 |
外付け貯湯タンク による蓄熱能力の拡大 |
夕方に薪をくべると深夜帯には貯湯タンクの温度が下がり始めているため、灯油を用いた補助バーナーが実用上必要不可欠で、その結果、10a換算で約850リットルの灯油燃料が補助バーナーとして使われており、CO2排出量や燃料代には削減の余地があることから、灯油使用量削減の取り組みとして、貯湯タンクを外付けして保熱能力の増大が可能か検討します。 |
現地試験 |
名取市法人 |
昨年度木質バイオマスボイラーを導入した名取市のイチゴ生産法人で引き続き調査を行い、ウッドボイラーを現地ほ場に適応させた際の効果や利用上の課題が明らかにします。 |
有効活用のための 使用環境整備 |
薪乾燥 |
一般的に薪燃料は半年から2年間の乾燥を必要とすると言われますが、乾燥環境が乾燥期間にもたらす影響については分かっていないため、購入薪のうち比較的乾燥していない薪をコンテナに詰め、雨よけ程度の異なる3か所(ハウス内、雨よけ、雨ざらし)で薪の乾燥程度について調査することで、購入した薪をどのような環境でどのくらい乾燥させれば燃料として使用できるのかを明らかにします。
ハウス内
雨よけ
雨ざらし
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研究成果
「普及に移す技術」、研修会資料等 |
タイトル
出典
容量
R5普及技術
556KB
令和5年度第1回いちご栽培研修会
2.88MB
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関連動画等 |
タイトル
出典
時間
令和5年度第1回いちご栽培研修会
11分26秒
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関連情報
関連「普及に移す技術」、PR資料、研修会資料等、会議資料等 |
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