【食料生産地域再生のための先端技術展開事業】
大規模施設における促成イチゴ栽培のIPM体系
分 野
野菜
品 目
イチゴ
技術概要
作期の長い促成イチゴ栽培においては,複数種類の病害虫が同時に発生し,その状況は年次や地域だけでなく,生産圃場でも異なりまする。
化学合成農薬も含めた複数の防除技術を効果的に組み合わせた防除方法であるIPM(Integrated Pest Management:総合的有害生物管理)の推進には,各生産者がそれぞれの状況に応じて適切な防除対策を選択することが重要です。
ここでは,大規模施設における促成イチゴ栽培のIPM体系を組み立てました。
- IPM体系
- IPM体系は図1のとおりですので,各生産ほ場の状況に応じて導入技術を選択してください。

図1 促成イチゴ栽培におけるIPM体系
- 病害虫の本ぽへの持ち込み回避
- 本ぽにおける病害虫発生の主体は育苗ほから持込まれた病害虫です。
- 各種微小害虫の本ぽへの持込み回避技術としては,高濃度炭酸ガス処理,スピロテトラマト水和剤の定植苗灌注処理が有効です。
- また,ハダニ類持込み回避技術としては,ミヤコバンカーの利用,うどんこ病持込み回避技術としては,UV-B電球形蛍光灯の育苗ほ照射も有効です。

UV-B照射による病害抵抗性の誘導
- 本ぽにおける防除
- 病害虫の発生状況に応じて天敵製剤をはじめとした生物農薬を導入します。
- 天敵導入ほ場においても病害虫の発生状況に応じて農薬散布が必要となるため,それぞれの天敵への影響を考慮して薬剤の選択を行います。
- 気門封鎖型薬剤は,天敵類への影響が比較的少ないことから有用です。

天敵利用によるハダニの防除
- IPM体系事例
- 本ぽへの病害虫持込みを抑え,複数の技術を導入することにより,長期にわたって害虫の発生を抑制することができます。
- また,病害虫防除に係る作業軽減及び薬剤費節減に繋がります。
関連情報
担当部署
農業・園芸総合研究所 園芸環境部(電話:022-383-8133)