実施中の試験研究

【みやぎ環境税活用事業】
主要露地野菜に関する温暖化適応技術開発事業

担当部署
農業・園芸総合研究所 野菜部 露地野菜チーム(電話:022-383-8124)
研究期間
2021(令和3年度)年度~2025年度(令和7年度)
研究目的
 近年の気候変動、特に夏季高温と秋冬季温暖傾向によって、県内野菜生産地では従来の気候に合わせた露地野菜生産の作期が現状の気候と合わなくなってきています。
 露地野菜は飲食業および惣菜生産等の食産業において重要な原材料供給に対応する品目が多いため、出荷時期が想定から大きく外れ、かつ生産量と品質が不安定になることで、生産地と出荷先に影響を及ぼす事例が増えています。
 温暖化の影響による夏季~秋冬季の減収に対して、生産者はこの時期の作付け自体を回避する等の対応しか現状では選択肢がなく、温暖化が県内の野菜生産量減少につながっています。
 一方、第3期食と農の県民条例基本計画では、園芸生産に力を入れ、産出額の大幅な増加を目標としています。また、野菜生産の標準とするべき「みやぎの野菜指導指針」は平成18年3月の発行から内容が更新されていません。
 温暖化適応策というテーマで宮城県内で露地野菜の生産性を検証した知見はほとんどなく、生産現場で役立つ情報を早急に提案する必要があります。
 本事業では、現状の気候条件に適応する新しい作型、品種、栽培方法等を策定することで、県内野菜生産量の向上を目的としています。
研究内容
1)作期変動への対応:秋収穫時期の早期化または冬収穫時期の延長による新作期を創出します。
品目 研究内容
たまねぎ  タマネギ極早生品種の直播栽培栽培における播種時期の検討と生育・収量の年次間差を所内および現地において確認します。
ブロッコリー  温暖化によって、ブロッコリー夏まき秋どり作型の晩期化の可能性が考えられる一方で、ブロッコリーの秋冬どりはボトニングの発生リスクが高いため、発生を回避する定植晩限を明らかにします。
 4か年の温度データから、定植~出蕾、出蕾~収穫までの積算日平均気温を明らかにします。
エダマメ  露地での早熟栽培と抑制栽培を組み合わせた二期作を検討します。
セリ  高需要期出荷(12月)のための定植晩限を検討します。

タマネギの大規模生産のための直播栽培の検討

エダマメ早熟栽培の検討

みやぎオリジナルセリ新品種を活用し
高需要期に向けた定植時期の検討
 
2)生理的な障害への適応策:高温由来の生理障害を回避し、夏季野菜生産の安定化を図ります。
品目と障害 研究内容
ブロッコリー花蕾障害  花蕾障害(不整形花蕾)の発生が増加する高温遭遇時の生育ステージを明らかにします。
 長期無追肥育苗により花蕾障害の発生が抑制されるかを検討します。
ホウレンソウ初期生育不良  夏播きホウレンソウ栽培における強遮光資材の有無による発芽や初期生育の影響を明らかにするとともに、夏作ホウレンソウに適した品種を明らかにします。
レタス抽だい  育苗方法および栽植密度が露地夏どり(7~8月収穫)栽培における収穫時生育に及ぼす影響を明らかにします。

ブロッコリー花蕾障害
高温障害

ブロッコリー花蕾障害
高温による不整形花蕾(左)と正常花蕾

雨よけホウレンソウ夏季高温回避
のための遮光資材の検討

レタスの高温対策・抽だい回避
のためのマルチ資材の検討

レタス地温抑制有穴マルチ
関連情報

 宮城県農業・園芸総合研究所
  (企画調整部 企画調整チーム)
  〒981-1243 宮城県名取市高舘川上字東金剛寺1
  TEL:022-383-8118
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