令和3年度の研修会・セミナー等

「みやぎ環境税活用事業」
気候変動に適応した持続可能な農業技術の確立と社会実装に向けたキックオフミーティング
~気候変動に適応した農業技術の効果的な社会実装事業~

目  的
 宮城県では,農業分野における気候変動に適応するための技術を速やかに開発するとともに,得られた成果を円滑に農業現場へ普及していくため,農業者,普及組織,農業協同組合等の関係団体と試験研究機関による情報共有を図るとともに,今後の社会実装に向けた取り組みの推進をスタートします。
主  催
農業・園芸総合研究所,古川農業試験場,畜産試験場
開催日時
令和3年8月11日(水)午後2時から3時50分まで
開催場所
農業・園芸総合研究所 6階 講堂
内  容
講演内容(講師) 資料
基調講演 「地球温暖化 いま起きていること,これから起きること」
 (気象庁仙台管区気象台 気象防災部 地球環境・海洋課 地球温暖化情報官 卜部佑介 氏)
資料
(2.26MB)
研究事業紹介 「気候変動の現状と適応できる農業技術に関する研究等について」
 (各宮城県農業関係試験研究機関研究部長 ほか)
資料
(2.46MB)
総合討議 「気候変動に適応した持続可能な農業技術の確立と社会実装に向けて」
 (コーディネーター 宮城大学 研究推進・地域未来共創センター 准教授 庄子真樹 氏
  パネラー     仙台管区気象台 地球温暖化情報官 卜部佑介 氏
           株式会社櫻井農場 代表取締役 櫻井利光 氏
           宮城県 農政部 園芸推進課 園芸流通ビジネス相談員 藤田郁雄 氏
           宮城県農業試験研究機関研究部長 ほか)
※このほか,会場に,気候変動に適応した農業技術に関する研究についてのパネルを展示 展示パネル
(2.32MB)

開催結果

 出席者は54名(パネラー・コーディネーター4名,農業関係団体職員2名,JA職員6名,市町村4名,宮城県職員35名,マスコミ3名)で, 報道機関3社から取材を受け,研修会当日に仙台放送から放映された他,翌日の日本農業新聞で記事が紹介されました。

1 基調講演
 まず,「地球温暖化 いま起きていること,これから起きること」と題し, 気象庁仙台管区気象台 気象防災部 地球環境・海洋課の卜部地球温暖化情報官から基調講演をいただきました。
 講演の中では,「世界の平均気温は100年あたりで0.72℃,日本の年平均気温は100年あたり1.26℃の割合で上昇している。 また,全国の大雨や短時間強雨の年間発生頻度も長期的に増加しており,地球温暖化は“もう起きていること”である。 世界の平均気温は21世紀末には1986~2005年平均と比べてRCP8.5シナリオ(追加的な温暖化緩和策を行わない場合)で2.6~4.8℃, RCP2.6シナリオ(パリ協定の2℃目標が達成された場合)で0.3~1.7℃上昇すると予測されている。 今後は温室効果ガスの排出量(緩和策)により,将来の気候は大きく変わると考えられるが,変動の幅が小さい場合でも気候変動は進行し, 気温の上昇と極端な降水の増加が予想される。」との説明がありました。

2 研究事業紹介
 次いで,農業・園芸総合研究所,古川農業試験場,畜産試験場の各研究部より, 環境税使途事業「気候変動に適応した農業技術の効果的な社会実装事業」の内容と, 本事業により取り組む試験研究の内容についてパワーポイントを用いて説明が行われました。
 1.気候変動に適応した農業技術の効果的な社会実装事業(農業・園芸総合研究所 企画調整部)
 2.主要露地野菜生産に関する温暖化適応技術開発事業(農業・園芸総合研究所 野菜部)
 3.キク類栽培における気候変動への適応推進事業(農業・園芸総合研究所 花き・果樹部)
 4.LEDを用いたブドウ及びリンゴの着色促進効果の検証事業(農業・園芸総合研究所 花き・果樹部)
 5.温暖化に対応した高温に強いイネづくり開発普及推進事業(古川農業試験場 作物育種部)
 6.地球温暖化に対応した作物病害虫管理技術の構築(古川農業試験場 作物環境部)
 7.気候変動に対応した雑草防除技術と初冬季播種栽培の検証(畜産試験場 草地飼料部)

3 総合討議
 最後に,「気候変動に適応した持続可能な農業技術の確立と社会実装に向けて」をテーマとし, 宮城大学 研究推進・地域未来共創センターの庄子准教授をコーディネーターに迎え, 仙台管区気象台の卜部地球温暖化情報官,株式会社櫻井農場の櫻井代表取締役,宮城県農政部園芸推進課の藤田園芸流通ビジネス相談員, 宮城県農業試験研究機関研究部長等をパネラーとして,総合討議が行われました。
「気候変動により,四季の移ろいは変わるのか。夏暑く冬暖かいという傾向はどうなるのか。」,
「小売業では,気候変動に伴い旬の時期が変化したり,流通に変化はあるのか。」,
「気候変動によりトマト等の農作物が過剰に取れすぎたりすることもリスクの一つだと思うが,そういった場合のリスクヘッジはどうあるべきか。」,
「サプライチェーン全体の脱炭素化に必要なコストはどこが負担するべきか。」,
「極端な大雨や高温,冷夏が来る可能性を考えると,白未熟粒が発生しない米や3日間冠水しても死なない米,寒くても不稔にならない米等色々な品種開発の方向性が考えられるが,今後の研究はどちらの方向を重点的に行うべきか。」,
「異常気象への対応について,「これくらいのリードタイムでこれくらいの精度の情報があると農業分野で画期的な対策ができる」等の要望はあるか。」
等の話題に対して討議が行われました。

 また,キックオフミーティング開催時間の前後には,会場内で気候変動適応技術に関連するパネルを展示し,担当研究員が説明を行いました。

 キックオフミーティング終了後に,各参加者へアンケート調査を依頼しましたが, 会議の内容については,「良かった」と「やや良かった」を合わせて,基調講演85%,事業説明59%,総合討議84%となり, さらに,気候変動に対する理解の深まりについては,回答者全員が「深まった」,「やや深まった」と回答しており, 今回の開催は,参加者に良好に受け入れられました。 また,研究の方向性については,「妥当である」と「やや妥当である」を合わせて92%となり, 意見としては,「脱炭素化に向けた研究も進めてほしい。」,「春菊の周年栽培の検討」や「ハウスの暖房装置の研究拡充」等でした。

基調講演

研究事業紹介

総合討議

パネル展示

※当日,研修会に参加できなかった方のために,研修の動画を用意しております。
 動画をご覧になりたい方は,下の「お問い合わせ」から宮城県農業・園芸総合研究所 企画調整部 企画調整チームまでお問い合わせください。
 視聴が可能な場合は,ID・パスワードのお知らせメールをお送りしますので,ID・パスワードを確認の上,こちらをクリックしてください。

 宮城県農業・園芸総合研究所
  (企画調整部 企画調整チーム)
  〒981-1243 宮城県名取市高舘川上字東金剛寺1
  TEL:022-383-8118
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