極早生品種を用いたエダマメ二期作を可能とする播種日
分 野
野菜
品 目
ナス
技術概要
宮城県におけるエダマメの作型は露地栽培が殆どで、8月の出荷が多くなっていますが、7月から10月にかけての継続的な出荷が望まれています。
そこで、露地栽培におけるエダマメの7月と10月の年2回の供給が可能な二期作の播種日について明らかにしました。
- 露地4月播き栽培において「初だるま」は4月14日前後に播種することで7月中旬から下旬の収穫となり、収量については約600kg/10a得ることができます。
また、播種日が4月下旬になると収穫日の遅れや収量の低下が見られる場合があるため、播種適期は4月14日前後であると考えられます(表1)。
表1 極早生品種「初だるま」を用いた露地4月播き栽培における播種日と収量
品種 |
試験年度 |
播種日 |
収穫日 |
栽培日数 |
可販収量 |
平均重/株(g) |
換算収量(kg/10a) |
初だるま |
令和4年 |
4月12日 |
7月26日 |
105 |
109.5 |
583 |
4月19日 |
8月5日 |
108 |
120.7 |
642 |
4月26日 |
8月17日 |
113 |
118.6 |
631 |
令和5年度 |
4月14日 |
7月18日 |
95 |
127.1 |
676 |
4月21日 |
7月28日 |
98 |
96.4 |
513 |
4月28日 |
8月4日 |
98 |
88.2 |
469 |
注1)令和4年度試験は10株×2反復で調査、令和5年度試験は4月14日播種区のみ10株×2反復、他の区は10株×4反復で調査。
注2)栽培日数:播種から収穫までの日数
注3)平均重/株:病気や虫害、傷のある莢を除いた、1株あたりの可販収量
注4)換算収量:平均重/株(g)/1,000×栽植密度(6,650株/10a)×0.8(枕地を考慮)により算出
- 露地4月播き栽培において「神風香」は4月14日前後に播種すると7月中旬から下旬の収穫となり、収量については約450~580kg/10aとなります(表 2)。
表2 極早生品種「初だるま」を用いた露地4月播き栽培における播種日と収量
品種 |
試験年度 |
播種日 |
収穫日 |
栽培日数 |
可販収量 |
平均重/株(g) |
換算収量(kg/10a) |
風神香 |
令和3年 |
4月6日 |
7月13日 |
98 |
91.4 |
486 |
4月14日 |
7月13日 |
90 |
86.2 |
459 |
4月27日 |
7月21日 |
85 |
95.9 |
510 |
令和4年度 |
4月12日 |
7月26日 |
105 |
96.0 |
511 |
4月19日 |
8月5日 |
108 |
93.5 |
497 |
4月26日 |
8月5日 |
101 |
92.1 |
490 |
令和5年度 |
4月14日 |
7月18日 |
95 |
110.4 |
587 |
4月21日 |
7月24日 |
94 |
98.3 |
523 |
4月28日 |
8月4日 |
98 |
115.6 |
615 |
注1)令和3年度、令和4年度試験は10株×2反復で調査、令和5年度試験は4月14日播種区のみ10株×2反復、他の区は10株×4反復で調査。
注2)栽培日数:播種から収穫までの日数
注3)平均重/株:病気や虫害、傷のある莢を除いた、1株あたりの可販収量
注4)換算収量:平均重/株(g)/1,000×栽植密度(6,650株/10a)×0.8(枕地を考慮)により算出
- 露地夏播き栽培において「神風香」は7月中旬~8月上旬に播種することで約350kg/10aの収量を得ることができますが、播種日が8月中旬になると収量は約150~200kg/10aとなります(表3)。
表3 極早生品種「風神香」と「初だるま」を用いた露地夏播き栽培における播種日と収量
品種 |
試験年度 |
播種日 |
収穫日 |
栽培日数 |
可販収量 |
平均重/株(g) |
換算収量(kg/10a) |
風神香 |
令和3年 |
7月13日 |
9月18日 |
67 |
57 |
303 |
7月21日 |
9月28日 |
69 |
64.5 |
343 |
8月3日 |
10月15日 |
73 |
67.2 |
358 |
8月13日 |
10月25日 |
73 |
40.2 |
214 |
令和5年度 |
8月16日 |
10月20日 |
65 |
34.5 |
183 |
初だるま |
令和5年 |
8月16日 |
10月20日 |
65 |
28.9 |
154 |
注1)令和4年度試験は10株×2反復で調査、令和5年度試験は「風神香」については10株×4反復、「初だるま」については10株×3反復で調査。
注2)栽培日数:播種から収穫までの日数
注3)平均重/株:病気や虫害、傷のある莢を除いた、1株あたりの可販収量
注4)換算収量:平均重/株(g)/1,000×栽植密度(6,650株/10a)×0.8(枕地を考慮)により算出
- 極早生品種「神風香」や「初だるま」を用いて露地4月播き栽培と露地夏播き栽培を組み合わせ、適期に播種を行うことで合計約600~800kg/10aの収量を得ることができます。作型表を図1に示します。
図1 極早生品種を用いて二期作を行う作型
注1)二期作:極早生品種を用いて年内に2回播種・収穫を行う作型
※利用上の留意点
- 本試験は令和3年から令和5年にかけていずれも宮城県農業・園芸総合研究所内(宮城県名取市)の露地ほ場で行った試験結果です。
- 品種は雪印種苗(株)の「神風香」とカネコ種苗(株)の「初だるま」を使用しました。サカタのタネ(株)の早生品種「おつな姫」やカネコ種苗(株)の中早生品種「湯あがり娘」も検討しましたが、年によっては露地4月播き栽培で収穫時期が8月中旬になる場合があること、露地夏播き栽培では莢の肥大が間に合わないことがあるため、本作型に用いる品種からは除外しました。
- 耕種概要は次の通り。栽植密度は畝間75cm、株間20cmで10a当たり6,650株としました。播種は直播で1穴2粒とし、出芽後に生育の優れる方を残して1穴1株に間引きしました。施肥はN:P:K=7:7:7kg/10aの全量基肥を各播種の前に行いました。
- 収穫時期の判断は、開花日から35日前後を目安として、莢の厚さが8.0~10.0mmに到達した頃としました。
- 本試験では4月上旬に播種した場合も収穫まで至りましたが、年によっては凍霜害に遭遇する恐れもあるため、4月の播種は中旬以降が望ましいです。
関連情報
担当部署
農業・園芸総合研究所 野菜部(電話:022-383-8124)