試験研究の成果

【産業廃棄物税基金充当事業】
混合堆肥複合肥料の試作と肥効等の検討

分  野
土壌肥料
品  目
水稲,園芸作物
技術概要
 土づくりや化学肥料使用量低減のため家畜由来堆肥の利用促進が必要であすが,耕種農家は「堆肥と施肥の2回散布」「堆肥の容積が大きく保管性・運搬性が劣る」「専用散布機が必要」「化学肥料より成分不安定」などの理由で堆肥利用を敬遠しています。
 平成24年の肥料取締法改正で普通肥料と家畜由来の堆肥を混合した混合堆肥複合肥料の製造・販売が一定規格を満たせば可能になったことから,家畜ふん尿由来堆肥の利用促進のため,散布作業や保管等で取扱やすく成分が安定したペレット状の混合堆肥複合肥料を作製しました。

牛ふん主体堆肥と硫安を原料とするペレット肥料の作製
  1. 県内の有機センターやホームセンターで販売している堆肥と化学肥料をツインダイス式造粒機でペレット状に混合・造粒し,耕種農家の多くが所有しているブロードキャスター等でも散布が可能で成分が安定した混合堆肥複合肥料(以下「ペレット肥料」)を作製できます(図1)。
  2. 加工時の加熱による窒素の流出で大きな変化はなく,90℃10分乾燥で180日間保存しても硬度は十分で,機械散布に耐えられます。

    図1 混肥複合肥料のペレット化の工程

水稲における施用効果
  1. 牛ふん主体堆肥45~50DW%,菜種油かす0~15DW%,硫安20~25DW%,PK化成20~25DW%の割合で配合し,作製したペレット肥料を基肥に用いれば,化成肥料を用いた慣行栽培と同等の玄米収量・品質が得られます(表1)。
  2. 作製したペレット肥料は,一般的なブロードキャスターで散布可能であり,室内であれば4年程度保存しても肥料成分は安定しているため,取扱いが容易です。

露地野菜の省力施肥法
  1. ブロッコリー栽培において,ペレット肥料の基肥施用2週間後の無機態窒素量は,速効性肥料を施用した場合を上回ることから,ペレット肥料の窒素肥効は速効性肥料に比べて長期間持続します。
  2. ブロッコリー,ネギ,ソラマメ栽培において,ペレット肥料を使用して追肥回数を2回削減した体系でも速効性肥料を施用した場合と同等の収量が確保できます(図2)。
関連情報
担当部署
畜産試験場      草地飼料部 (電話:0229-72-3101(代表))
古川農業試験場    作物環境部 (電話:0229-26-5107)
農業・園芸総合研究所 花き・果樹部(電話:022-383-8134)

 宮城県農業・園芸総合研究所
  (企画調整部 企画調整チーム)
  〒981-1243 宮城県名取市高舘川上字東金剛寺1
  TEL:022-383-8118
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