【産業廃棄物税基金充当事業】
瓦等廃棄物のセリ養液栽培への再利用開発事業
担当部署
農業・園芸総合研究所 野菜部 露地野菜チーム(電話:022-383-8124)
研究期間
2025年度(令和7年度)~2026年度(令和8年度)
研究目的
宮城県の特産品であるセリは、価格の高騰する冬期はもちろん、周年で需要がありますが、この周年での需要に供給が答えられないでいます。
冬期の水田作業は若い担い手から敬遠され、新規参入は極めて少なくなっています。また、周年供給を考えた企業の新規参入の意向はあるものの、農地の確保や篤農的栽培技術のマニュアル化がなされていません。
さらに、根まで食する根セリの洗浄・調製は既存の水田作においては労力・衛生面での問題もあります。
そこで、宮城農園研では、令和3~5年度にかけてセリの養液栽培技術を明らかにし、令和6年3月に学会報告、令和6年4月にマスコミ等に取り上げられたことから、県内の農業参入企業や生産者の反響が大きく、視察依頼も多くなっています。
この養液栽培技術では、セリのランナーを固定できる固形培地耕を視野に試験を展開していたところ、ホームセンター等で販売されているレキ(砕石)がセリのランナーの固定に適しており、ベンチアップされた養液槽においてセリの養液栽培が可能と判断されました。
一方、地震災害や改築等で大量に排出される屋根瓦やガーデニング需要からの素焼き鉢等、素焼き製品の廃材は、リサイクルとしては宅地周辺の敷料等の利用しかなく、多くは埋め立て処理されていますが、この瓦等を破砕したチップがレキに替わりに培地として利用できれば、市販のレキより廉価なため、このチップを利用した宮城独自のセリ養液栽培システムの確立による、セリの安定的かつ周年生産の可能性を検討します。
本事業では、宮城県の特産品目であるセリを対象品目とし、瓦等廃棄物を細かく砕いた瓦チップを培地として利用する際の適正な大きさや瓦廃棄物を培地とした際の品質に及ぼす影響、経済性を明らかにし、セリ養液栽培技術を確立します。

図1 宮城型セリ養液栽培システムの概要図
研究内容
小課題 |
研究内容 |
瓦チップの適正な大きさの検討 |
瓦チップ培地の大きさと養液EC管理がセリの生育、収量に及ぼす影響を明らかにします。 |
電照利用による種セリ確保技術 |
養液栽培システムにおける周年生産のための種セリ確保技術を確立するため、LED電照利用における種セリ確保を検討します。 |
現地実証 |
みやぎオリジナル養液栽培システムの現地における栽培実証を行います。 |