【産業廃棄物税基金充当事業】
農地における汚泥肥料の施用基準設定事業
担当部署
農業・園芸総合研究所 園芸環境部 土壌環境チーム(電話:022-383-8133)
古川農業試験場 作物環境部 土壌肥料チーム(電話:0229-26-5107)
研究期間
2023年度(令和5年度)~2025年度(令和7年度)
研究目的
令和2年に肥料取締法が改正され、公定規格の見直しにより、食品製造や下水処理施設等から発生する汚泥が肥料として利用促進されることが期待されています。
排水処理等で生じる活性汚泥には窒素、リン等肥料成分が含まれるため、肥料の公定規格の一つに「汚泥肥料」が設定されています。汚泥肥料は有機質原料の中で窒素肥効が高い傾向があり、化学肥料に近い肥効が期待できる一方、ヒ素、鉛等有害成分が含まれる可能性があります。そのため、公定規格で含有基準が定められていますが、農地汚染の懸念から、これまで農業者から敬遠される場合が多くありました。
しかし、近年、資源価格の上昇や緊迫する国際情勢を背景に化学肥料価格が著しく高騰し、農業者の経営が圧迫されるだけでなく、食糧危機さえ懸念される状況となっています。このような状況下において、産業廃棄物の有効な活用法を検討することは肥料の安定的な確保やコスト低減につながり、農家経営の安定や食料安全保障上きわめてメリットが大きいと考えられます。
汚泥肥料
そこで、有効活用が期待される石巻市の水産加工協同排水処理施設から年間4,000t前後発生する活性汚泥の乾燥処理によって製造される汚泥肥料(令和5年10月から菌体リン酸肥料として登録)を主対象とし、農作物に対する肥料としての有効性や、作物体内および土壌中への重金属成分の蓄積動向(農地土壌の亜鉛濃度基準値120mg/kg)を調査し、施用基準を策定します。
併せて、汚泥肥料は原料や処理方法によって成分量や肥料効果が多様であることから、上記の水産加工由来汚泥に加え、堆肥化、炭化、メタン発酵等異なる原料や処理方法に由来する他の汚泥肥料についても検討します。
本事業は、農業・園芸総合研究所と古川農業試験場の共同で実施し、前者では畑地(野菜、花き)、後者では水田(水稲)での施用基準の設定を検討します。
研究内容
農業・園芸総合研究所
小課題 |
研究内容 |
各種汚泥肥料の主要成分濃度および肥効の解析 |
昨年度供試した各種汚泥資材において、有効態窒素含量およびリン酸含量を基準に施用量を決定し、コマツナポット試験で資材評価を行います。 |
ポット試験 |
汚泥肥料由来成分の作物体および土壌中の動態解析 |
大型ポットでの野菜栽培において各種汚泥肥料の連続施用試験を行い、作物中および土壌中への肥料由来成分の吸収、蓄積動向を把握します。 |
園芸作物における汚泥肥料の活用方法の確立 |
主要園芸作物(野菜、花き)において、汚泥肥料の肥効を活用した栽培試験を行い、肥料としての有効性を検証しいます。
令和6年度は、小ギクの露地栽培において、汚泥肥料の施肥基準を明らかにします。 |
古川農業試験場
小課題 |
研究内容 |
水稲栽培における汚泥肥料の肥料効果の実証 |
汚泥肥料を水稲栽培の基肥又は追肥とした場合の肥効特性を確認し、適切な施肥法を確立します。 |
水田栽培試験 |
水稲栽培における汚泥肥料の成分動向の確認 |
汚泥肥料を水稲栽培において使用する場合の肥料成分の確認、及びその他肥料由来成分の稲体及び土壌への蓄積動向について確認します。 |
関連情報
関連「普及に移す技術」、PR資料、研修会資料、会議資料等 |
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