【産業廃棄物税基金充当事業】
水稲育苗培土への堆肥利用による苗立ち枯れ性病害低減に関する研究
担当部署
古川農業試験場 作物環境部 病害チーム,土壌肥料チーム(電話:0229-26-5107)
研究期間
2020年度(令和2年度)~2024年度(令和6年度)
研究目的
宮城県内の堆肥センターより産出される堆厩肥の利用については,耕畜連携事業等により推進されていますが,その利用量は排出量に追いついておらず,余剰堆厩肥については利用されていない現状にあります。
宮城県の水稲生産は慣行の農薬使用成分数の半分とする減農薬栽培を主流としている一方で,その農薬使用成分数の制限から突発的な病虫害が発生した場合,防除ができない場合も発生しています。
一方で,近年,有機物を混用した水稲用育苗培土や有機土壌の水稲育苗用培土への混用による,育苗時に発生する病害を抑制する技術が開発されつつあります(富山県,東北大)。
これらの技術は農薬を使用しない手法であり,これらの技術を基に育苗培土への堆厩肥混用で病害が制御できれば,育苗時に使用する農薬成分数を1~2成分節約できる可能性があり,かつ未利用堆厩肥の利用促進にも繋がります。
このため,県内の堆肥センターで産出される各種堆厩肥を育苗培土へ混合し,その病害(もみ枯細菌病)防除効果を確認することで、育苗時に使用する農薬成分数の節減および未利用堆厩肥の利用推進に役立てます。
研究内容
小課題 |
研究内容 |
堆肥による水稲病害抑制効果の年次変動の調査 |
過去4カ年の試験の結果、水稲の育苗時に堆肥を覆土に30%混合することで、もみ枯細菌病の病害抑制効果が確認されたことから、年次変動を引き続き検討します。 |
病害抑制メカニズムの検討 |
堆肥内の微生物叢の多様性の高さが病害抑制効果に寄与していることが示唆されたため、もみ枯細菌病発病後の覆土内の細菌叢を次世代シーケンサーを用いて解析し、微生物叢の変化と病害抑制効果の関係を検討します。 |
実用化に向けた調査 |
播種機を用いて覆土した場合の作業性、堆肥が苗質に及ぼす影響について調査します。 |